2010 Fiscal Year Annual Research Report
冷温帯林における積雪下でのリター分解菌類群集の組成とその分解酵素活性
Project/Area Number |
21570013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 敏澄 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00343012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 圭一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (80322840)
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Keywords | リター分解 / 菌類群集 / 低温 / 積雪 |
Research Abstract |
本研究では、積雪時の低温下においてリター分解に関わる菌類はどのような種によって構成されるのか、またそれらが低温に適応した生長特性や分解酵素の特性をらかにすることを目的としている。そこで、多雪地の調査地で早春に積雪下の地表よりミズナラのリターを回収した。リターには本来の褐色が漂白された部分が多数観察されたため、漂白部分と非漂白部分から菌の分離を行い、DNAのITS領域について塩基配列を解析し、BLAST検索により菌の分類群の推定を行った。その結果、得られた菌は担子菌の7分類群と子のう菌の28分類群に区分されたが、種名を特定できたものは限られていた。これらの菌について、0℃に保った恒温器で培養し、生長とリグニン分解に関わるphonoleoxidaseの産生能を調べたところ、ほとんどの菌は0℃でも生長することが可能であり、漂白部分から分離された菌の50%、非漂白部分から分離された菌の8.2%が0℃でphenoleoxidaseの産生能を有していた。リターの漂白は積雪下で菌の活動によるリグニン分解と関連があるものと推測された。調査地間でリター分解速度を比較すると、冬期のリターの重量減少率は名寄>小樽>苫小牧>足寄の順で高かった。積雪下の地表温度については、多雪地の名寄と小樽は常にほぼ0℃で安定しているのに対し、雪の少ない苫小牧と足寄は不規則に氷点下に降下を繰り返していた。多雪地の積雪下でリター分解が比較的速く進む理由の一つが、0℃でリグニン分解酵素を産生することができる多数の子のう菌類の存在によるものである可能性が示された。この他にも研究実施計画に従って、冬期と夏期のリター分解に関わる菌類群集とその分解活の違いを検討するために、調査地4カ所において、融雪後に新たなリターバッグを設置した。回収したミズナラとトドマツのリターから菌類の分離を行い、3500株が得られた。
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Research Products
(1 results)