2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋島に隔離分布する鳥類の鳴き声による血縁認識と近親交配の回避機構
Project/Area Number |
21570022
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高木 昌興 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70311917)
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Keywords | 近親交配 / 血縁認識 / 隔離個体群 / 音声コミュニケーション / 海洋島 / リュウキュウコノハズク / ダイトウコノハズク / フクロウ類 |
Research Abstract |
繁殖期である4-8月に約2ヶ月南大東島に滞在し、繁殖経過の追跡、成績の記録、雛の計測、採血、および標識を行った。繁殖生態の調査は、9年目となり個体群生態学的な情報の蓄積し、今後の継続研究の基盤を維持することができた。足輸を装着した個体を探索確認した上で鳴き声の録音を行った。2009年以前に足輪を装着した個体を探索することにより、分散先や配偶関係を明らかにした。これまでの研究から出生地分散には性差があり、雄が巣立ち後短期間で近くに、雌は時間をかけて動き回り遠くに定着することが明らかになっている。本年度も分散先の確認数を増やすことで、より確実な結果を導くことができた。このような出生地分散に関する研究は、難しいため類を見ない。対象種であるダイトウコノハズクのサイズ、および飛翔能力と南大東島の大きさの関係が研究を推進する上で適切であり、出生地分散の詳細な研究を大きく進展させることに貢献する。両親の鳴き声が判明している個体の鳴き声を蓄積することができた。親と子の鳴き声の類似性の確認が高い確度で可能になる。成鳥をかすみ網により捕獲し、社会的なつがい関係、特に近親配偶の状況を明らかにするための情報を収集した。非繁殖期に行われる分散個体のなわばり定着の促進、繁殖調査の効率化のために巣箱を設置した。これまでダイトウコノハズクは巣箱の使用率が低く、巣箱における繁殖誘致は大きな課題だった。これまでの経験をもとに巣箱のサイズ、入り口の形状、内側の構造、巣材の材質、提供方法を改良した。その結果、23年3月時点の調査で21個新設の内、8個で営巣を確認でき大きく改善した。今後は既にダイトウコノハズクが絶滅している北大東島への誘致も期待される。
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Research Products
(1 results)