2011 Fiscal Year Annual Research Report
好蟻性シジミチョウのアリ認知および随伴アリの行動制御のメカニズムについて
Project/Area Number |
21570023
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
萩原 康夫 昭和大学, 富士吉田教育部, 講師 (80317586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋野 順治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40414875)
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Keywords | 好蟻性器官 / アリ / シジミチョウ / 共生 |
Research Abstract |
昨年度までにえられた結果から、ミヤマシジミの幼虫は脱皮する前のアリとの接触経験を基にして、樹状刺毛の長さや数を変化させることが判明した。そこで、今年度はミヤマシジミの幼虫がアリの存在を認識するのに必要な時間を解明するために、アリとの接触を完全に遮断して前蛹まで飼育した個体を用いて、アリを随伴させた後の蛹に見られる樹状刺毛の変化を確認した。また、樹状刺毛の機能を推測するために、幼虫期にアリの随伴を経験させ樹状刺毛が伸長・増数した蛹に対して、樹状刺毛の剃髪処理実験と、樹状刺毛の樹状部のみのカット処理実験を行い、それぞれの処理を行った蛹に対するアリの行動を観察した。また、平行して、ミヤマシジミが有すると思われるアリに対する鎮静メカニズムを検証するために、アリを警報フェロモンにより興奮させた後に羽化中の蛹や羽化後の蛹殻を提示し、アリの興奮が抑えられるのか否かの実験を行った。 以上の実験により、ミヤマシジミの幼虫は前蛹というわずかな期間においてもアリの随伴を認識し樹状刺毛の長さや数を変化させる結果がえられた。このことはチョウ幼虫がかなり積極的にアリの随伴を認識しているものと推察される。また、樹状刺毛の剃髪処理実験および樹状部処理実験については、アリの行動を録画したビデオを現在解析中である。羽化中の蛹および羽化後の蛹殻を用いたアリの鎮静実験から、蛹のアリに対する鎮静効果は蛹に裂け目ができる時期から次第に上昇し、羽化後は速やかに消失することが確認できた。このことから鎮静効果を有する物質は揮発性の物質である可能性が推察されると同時に、興奮したアリの行動の変化の記録から、鎮静効果を定量的に評価することが可能となった。
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Research Products
(2 results)