2009 Fiscal Year Annual Research Report
種子食動物の食文化:自己学習と社会学習の相対的効果
Project/Area Number |
21570029
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田村 典子 Forestry and Forest Products Research Institute, 多摩森林科学園, 主任研究員 (20222127)
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Keywords | オニグルミ / ニホンリス / 採食技術 / 学習 |
Research Abstract |
ニホンリスの主要な餌であるオニグルミ種子は堅い殻に包まれているので、それを削り、中身を食べるために時間がかかる。しかし、リスは効率的な採食技術を習得することによって、短い採食時間で中身を取り出すことができるようになる。オニグルミを食べたことが無い個体群では、この採食技術を習得していないため、クルミを上手く割ることができない。本年度は、オニグルミが自生していない亜高山帯針葉樹林で捕獲したニホンリスを対象に、オニグルミ採食技術が学習によってどのように習得されるのかを調査した。野外からの捕獲個体を個別ケージで飼育し、毎日オニグルミ3個ずつを50日間給餌し続けた結果、12個体中1個体のみが、効率的な採食技術を習得し、5個体は効率的な採食技術をまれに示した。一方、オニグルミの採食技術をすでに習得した個体と隣接してケージを置き、その行動を見ることができる環境で飼育した結果、10個体中2個体が技術を習得し、1個体はまれに効率的な採食技術を示した。以上より、上手にクルミを割ることができるモデル個体の存在が、オニグルミ採食技術の学習効果に大きな影響を与えているという結果にはならなかった。全体的に40%の個体が採食技術獲得の手がかりをつかんだものの、それが定着した個体はわずか、14%と低い値であった。野外で捕獲してきた個体は年齢が不明である。次年度は、飼育個体を用いて、学習効果と年齢との関わりを解析する予定である。
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