2010 Fiscal Year Annual Research Report
種子食動物の食文化:自己学習と社会学習の相対的効果
Project/Area Number |
21570029
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田村 典子 (林 典子) 独立行政法人森林総合研究所, 多摩森林科学園, 主任研究員 (20222127)
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Keywords | ニホンリス / オニグルミ / 採食技術 / 学習 |
Research Abstract |
ニホンリスの主要な餌であるオニグルミ種子は堅い殻に包まれているので、それを削り、中身を食べるために時間がかかる。しかし、リスは効率的な採食技術を習得することによって、短い採食時間で中身を取り出すことができるようになる。オニグルミを食べたことが無い個体群では、この採食技術を習得していないため、クルミを上手く割ることができない。オニグルミが自生していない亜高山帯針葉樹林で捕獲したニホンリスを対象に、繰り返しクルミ割りを経験する事によって、最適なオニグルミ採食技術が習得されるのかを調査したところ、全体的に40%の個体が採食技術獲得の手がかりをつかんだものの、それが定着した個体はわずか、14%と低い値であった。そこで、今年度は年齢が分かっている動物園飼育個体を用いて、学習効果と年齢との関わりを解析した。オニグルミを餌として利用したことが無い動物園飼育個体について、2ヶ月間にわたって、オニグルミ種子の提示を継続した結果、1歳未満の個体は全て採食技術を獲得したが、1歳以上3歳未満では半数の個体が採食技術を獲得することができた。しかし、3歳以上の個体はいずれも採食技術を学習することが出来なかった。したがって、ニホンリスが堅い殻をもつオニグルミ種子を効率的に食べるためには、若い時期の頻繁な採食機会が必要であることが明らかになった。
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