2009 Fiscal Year Annual Research Report
強光順化での、葉緑体チラコイド膜プラストキノン酸化システムの分子メカニズム解明
Project/Area Number |
21570041
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三宅 親弘 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (80294289)
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Keywords | 光合成 / ストレス |
Research Abstract |
本年度は、強光順化でのプラストキノン酸化の分子メカニズムを明らかにするために、タバコ生葉を用いて、葉緑体チラコイド膜光合成電子伝達反応の強光応答を解析した。150μmol photons m^<-2>s^<-1>の弱光(LL)条件で生育させたタバコ個体を1,100の強光(HL)条件へ移す前後で、生葉の光合成能をクロロフィル蛍光解析に供した。 その結果、LL-plantsとHL-plants間でチラコイド膜光化学系II量子収率Φ(PSII)と光合成速度の正の比例関係に差は見出されず、HL-plantsにおいて生葉が吸収した光エネルギーの光化学系IおよびIIへの分配率は影響されないことが明らかになった。一方、Φ(PSII)に対する光化学系II第一電子受容体QAの酸化還元率を示すクロロフィル蛍光パラメーターqLの値は、LL-plantsに比べてHL-plantsでは、その増大が認められた。この結果は、QAがプラストキノンと平衡関係にあると仮定すると、強光順化においてプラストキノンの酸化レベルが増大することを示す。 我々は、qL増大のメカニズムを明らかにするために、qLの値をクロロフィル蛍光パラメーターであるPSIIの量子収率F(PSII)、non-photochemical quenching(NPQ)そしてPSIIの最大量子収率Fv/Fmに関連付けるモデル式を誘導した、そこでは、qLは以下のように示される。 qL=(1-Fv/Fm)/(Fv/Fm)*(Φ(PSII)/(1-Φ(PSII))*(NPQ+1)…(1) HL-plantsでNPQの値の増加およびFv/Fmの値の低下が同時に認められ、qLの増加率の8割はFv/Fmの低下に依存していた。この結果を、日本植物生理学会誌Plant Cell Physiologyに報告した。
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