2010 Fiscal Year Annual Research Report
強光順化での、葉緑体チラコイド膜プラストキノン酸化システムの分子メカニズム解明
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21570041
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三宅 親弘 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (80294289)
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Keywords | 植物 / タンパク質 / 遺伝子 / ストレス |
Research Abstract |
Photosynthetic linear electron flow(LEF)の活性がcyclic electron flow around PSI(CEF-PSI)の活性に与える影響を調べるために、我々は、PSIIの光障害を与えることによりLEFの活性を低下させたイネ生葉を用いて、CEF-PSI活性を評価した。イネ生葉が、光合成が抑制された条件(2% O_2,0% CO_2)下,2,000μmol photons m^<-2>s^<-1>の光強度の光にさらされた。光処理時間の経過とともに、PSIIの最大量子収率(Fv/Fm)が低下し、60分後初期値の約70%に至った。PSII量子収率(Φ(PSII))により見積もられたLEF活性および正味の光合成速度は、光処理の時間の経過とともに低下した。また、non-photochemical quenching(NPQ)の値も低下した。一方、プラストキノンの酸化還元レベルを示すqLの値は、光処理により、増大した。さらに、PSI反応中心クロロフィルP700の酸化型の割合が、光処理により増大した。これらの結果は、PSIIの光障害によりプラストキノンおよび電子伝達系の酸化レベルが増大していることを示す。LEF活性と異なり、PSI量子収率(Φ(PSI))により見積もられたPSI電子伝達活性の光強度依存性は、光処理により影響されなかった。また、Φ(PSII)に対するΦ(PSI)の関係は、光処理により影響されなかった。つまり、LEF活性に対するCEF-PSI活性は影響されなかった。ただし、光障害を受けた生葉ではLEF活性が低下しているので、CEF-PSIの活性は上昇していた。これらの結果は、CEF-PSI活性の維持あるいは強化がプラストキノン酸化に貢献することを示唆しする。
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