2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物表層微小管の安定性に関与するシグナル伝達因子の同定
Project/Area Number |
21570043
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 壮英 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (70379535)
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Keywords | シロイヌナズナ / 微小管 / リン酸化 / フォスファターゼ / MAPキナーゼ / 細胞骨格 / チューブリン / 植物 |
Research Abstract |
本研究では、植物の微小管構造の形成・維持に関与する新たな因子の同定と、分子メカニズムの解明を目指している。我々のグループでは、シロイヌナズナの変異体の解析によりMAPキナーゼフォスファターゼ様PHS1を単離しており、C792S不活性型PHS1が強力な間期表層微小管の不安定化を引き起こす事を明らかにしている。そこで、この遺伝子を利用し、以下の3項目を3年間で行う。 1)不活性型PHS1を用いて、間期表層微小管の形成・維持に関わる因子の同定 2)表層微小管を積極的に不安定にする因子の探索 3)PHS1に関連のあるMAPキナーゼカスケードの同定 これまで、本研究においてPHS1をMAPキナーゼフォスファターゼ様タンパク質として扱ってきた。ところが当該年度の中盤にPHS1のN末端側に存在する保存領域のみで、これまでC792S不活性型PHS1を用いて観察されていた表層微小管を消失する活性を有する事が発見された。この保存領域は、粘菌のAFKキナーゼに非常に弱い相同性を示し、かつMnイオンに依存するキナーゼ活性を有する事が明らかとなった。さらに、パーティクルガンを用いた微小管脱重合アッセイにおいてN末端側の微小管を消失する活性が、実はC末端側のDsPTP1によって抑制されている事も明らかになった。また、DsPTPにC792S不活性化変異を入れるとN末端を抑制する効果は失われた。つまり、PHS1はキナーゼと、フォスファターゼの両方の活性を有しており、その両ドメインによって表層微小管の存在・消失がコントロールされているという可能性が示された。
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