2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルジェネティクスによるシロイヌナズナの葉の極性確立の分子機構の解明
Project/Area Number |
21570052
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
町田 千代子 Chubu University, 応用生物学部, 教授 (70314060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 晶子 中部大学, 応用生物学部, 講師 (10340209)
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Keywords | シロイヌナズナ / 発生・分化 / 葉 / 核小体 / 核 / ケミカルバオロジー |
Research Abstract |
葉は、茎頂メリステムから分化する地上部の器官であり、基部-先端部軸、中央-側方軸、裏-表軸という軸性を持つ。我々は、これまでに、シロイヌナズナのAS1とAS2遺伝子が、これらの軸に沿った形態形成に関わっていることを明らかにしてきた。さらに、我々はAS1とAS2遺伝子の変異体にケミカルジェネティクスを適用して、これらの遺伝子と共に葉の軸性の決定に関わっている新奇な因子の同定を進めている。これまでの研究により、as1とas2変異体にアルカロイド化合物であるベルベリンと9-ヒドロキシカンプトテシンを添加すると、葉の裏側化が著しく亢進することがわかった。本研究では、第一に、カンプトテシン誘導体やDNA損傷試薬を投与した時にas1とas2変異体に特異的に、裏-表軸に異常を示した。DNA複製の停止や細胞周期の進行が停止したために、発生分化の異常が起こった可能性が考えられる。このことは、細胞分裂周期の進行のタイミングが葉の発生分化において重要であることを示唆している。さらに、I型トポイソメラーゼの変異体と、as2の二重変異体において、as2単独変異体にカンプトテシンを加えた場合と同じように、発生異常の棒状の葉を形成したことから、I型トポイソメラーゼの機能不全の結果であると考えられた。第二に、ベルベリンは、グアニン四重鎖に特異的に結合し、グアニン四重鎖配列のある近傍の遺伝子発現に影響与えると考えられた。シロイヌナズナにはグアニン四重鎖配列が約1200カ所あることがわかった。これらのうち、AS1やAS2と共に、葉の裏-表の分化に関わっている遺伝子の近傍のグアニン四重鎖配列が影響したと考えられた。それらのうちのひとつリボソームRNA遺伝子発現に影響を与えた可能性が考えられる。このようにケミカルジェネティクスは、同様な機能を持つ複数の遺伝子が作用する仕組みの解明に有効であることがわかった。
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