2009 Fiscal Year Annual Research Report
穂発芽変異体を用いた種子成熟・休眠・発芽分子機構の解明
Project/Area Number |
21570054
|
Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
中島 一雄 Japan International Research Center for Agricultural Sciences, 生物資源領域, 主任研究員 (90343772)
|
Keywords | 穂発芽 / アブシシン酸 / タンパク質リン酸化酵素 / SnRK2 / bZIP型転写因子 |
Research Abstract |
本研究課題の申請者らは、乾燥などの環境ストレスに対する応答と、種子成熟において重要な役割をもつアブシシン酸(ABA)が、遺伝子発現を制御している機構を研究してきた。最近、申請者らは、シロイヌナズナのABA応答性遺伝子発現に関わっているタンパク質リン酸化酵素SnRK2の三重変異体srk2d srk2e srk2iが、穂発芽を起こすことを明らかにした。本研究では穂発芽変異体の解析を通じてSnRK2による種子成熟・休眠・発芽の制御機構を明らかにする。平成21年度は穂発芽変異体の表現型および遺伝子発現を解析した。すなわち、srk2d、srk2e、srk2i一重変異体、二重変異体種子に比べ、srk2d srk2e srk2i三重変異体では、種子成熟期に生育阻害や乾燥耐性の低下が見られた。三車変異体種子では、穂発芽に加えて、休眠能の低下、極めて強いABA非感受性、ABA量の増加も見られた。三重変異体種子では、種子成熟期に働くことが知られているABI5を含むbZIP型転写因子断片のゲル内リン酸化が見られなくなった。また、マイクロアレイ解析により、abi5種子で発現レベルが低下している遺伝子のうち、48%の遺伝子の発現レベルが三重変異体種子でも低下していることが示された。さらに、三重変異体種子では、ABA誘導性発現を示す遺伝子の発現レベルの低下や、ABA抑制性発現を示す遺伝子の発現レベルの上昇といったグローバルな遺伝子発現の変化が見られた。以上の結果から、これらのタンパク質リン酸化酵素は、広範囲にわたるABA応答性遺伝子の発現制御を通じて、種子成熟、発芽をコントロールしていることが示唆された。
|
Research Products
(7 results)