2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570055
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 秀樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 基礎代謝研究チーム, チームリーダー (00333302)
|
Keywords | 植物 / 環境 / 発生・分化 / 窒素 / 代謝 |
Research Abstract |
窒素センシングと根の生長制御のメカニズムの研究は、窒素代謝研究の重要な研究課題の一つである。窒素検知機構に関する研究は浅く、硝酸イオン検知機構については、硝酸イオントランスポーターNRT1.1が根の伸長を促進する硝酸イオンセンサーとして機能することが示唆されているが、アンモニウム検知機構に関する知見は皆無である。本研究では、根のアンモニウム検知機構を解析することを目的として、シロイヌナズナの根でアンモニウムの吸収と同化に主要な役割を果たすAMT1(AMT1;1,AMT1;2,AMT1;3)とGS1(GLN1;1,GLN1;2,GLN1;3)に着目してノックアウト植物の根の表現型の解析を進めた。 硝酸イオンまたはアンモニウムを唯一の窒素源とする区画と無窒素区画からなる分割培地を作製し、窒素源を含む区画に置いた1次側根の成長と2次及び3次側根数と側根長を計測した。野生型株では、アンモニウムを窒素源とする区画で側根の分岐が促進され2次および3次側根の数が増加した。この表現型は硝酸イオンを窒素源とする区画では観察されなかった。一方、GLN1;2のノックアウト植物では、アンモニウムによる側根の分岐が観察されなかった。GLN1;1やGLN1;3のノックアウト植物では野生型株と同様、アンモニウムによる2次および3次側根数の増加がみられた。以上の結果から、局所的な側根の分岐はアンモニウムおよびGLN1;2に特異的な表現型効果であることが明らかとなった。アンモニウムは局所的に側根数を増加させるが、側根の伸長を阻害する。本研究では、シロイヌナズナの側根の伸長促進因子であるMADS-box型転写因子AGL21の発現がアンモニウムを窒素源とする区画で生育する側根で抑制されることが分かった。
|
Research Products
(3 results)