2011 Fiscal Year Annual Research Report
センス鎖遺伝子と共発現するストレス応答性の非翻訳型アンチセンスRNAの解析
Project/Area Number |
21570056
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 原明 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム発現研究チーム, チームリーダー (80281624)
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Keywords | アンチセンスRNA / RNA-dependent RNA polymerase / RNA制御 / 環境ストレス応答 / small RNA / シロイヌナズナ / 非翻訳型RNA |
Research Abstract |
前年度までの研究から、RNA-dependent RNA polymerase(RDR)によりRD29A遺伝子のmRNAを鋳型として環境ストレス誘導性のアンチセンスが生成する事を明らかにしている。RDRは2本鎖RNAを形成する事が知られているので、RD29AアンチセンスRNAがセンスRNAと2本鎖RNAを形成しているか確認した。rdr1/2/6三重変異体と野生型植物からRNAを抽出してRD29AアンチセンスRNAのRNase Protection Assayを行った。その結果、RD29AアンチセンスRNAは2本鎖特異的RNaseで分解されるのに対して、1本鎖特異的RNaseでは分解されなかった。この結果はRD29A遺伝子領域ではセンスRNAとアンチセンスRNAにより2本鎖RNAが形成されている事を示唆する。 キャップ構造のないmRNAを分解する5'-3'exoribonuclease(XRN4)の変異体では、導入遺伝子に対するsmall RNA介在性のジーンサイレンシングが起こる事、ターゲット遺伝子領域でアンチセンスRNAの蓄積増加が報告されている。これらの結果から、XRN4がRD29AアンチセンスRNAの蓄積に関与する事、mRNAの分解産物の一部がアンチセンスRNAの生成機構とリンクする可能性が考えられた。そこで、XRN4およびmRNAからキャップを除く機能を持つDCP5の変異体におけるRD29AアンチセンスRNAの蓄積量を調べた。XRN4変異体ではRD29AアンチセンスRNAの蓄積は増加し、DCP5変異体ではRD29AアンチセンスRNAの蓄積は減少していた。以上の結果は内生mRNAの分解産物から2本鎖RNAが形成される新規なRNA制御機構が存在することを示唆する。
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