2011 Fiscal Year Annual Research Report
DMRT1突然変異メダカを用いた生殖腺の性的可塑性の解析
Project/Area Number |
21570059
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松田 勝 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (20414013)
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Keywords | メダカ / 生殖腺性分化 / 性決定 / DMRT1遺伝子 / 性差形成機構 |
Research Abstract |
多くの脊椎動物では、授精の瞬間に決定された遺伝的な性に従って、メスでは未分化生殖腺が卵巣に、オスでは精巣に分化することで、個体の性は決定される。メダカは、遺伝学的解析が容易な上に性決定遺伝子が同定されているので、未分化生殖腺から精巣や卵巣が形成される機構を明らかにする目的に最適な実験動物の一つである。近年、魚類の性決定遺伝子は様々であることがわかってきたが、その一方、他の生命現象と同様に性分化に関わる遺伝子の脊椎動物における共通性が明らかとなってきている。本研究では、精巣特異的な発現パターンから精巣形成に重要な役割を持っていると予測されるDMRT1遺伝子の突然変異メダカの表現型を解析した。誘発突然変異体ライブラリー探索から得られたDMRT1突然変異体は4種のうち表現型の明らかな2つの対立遺伝子(bとc)について解析を進めている。cに関しては、表現型出現頻度が安定しないため、近郊系への戻し交配をさらに進めた。一方、性染色体型型がXYで、DMRT1遺伝子座についてb対立遺伝子をホモに持つ個体の生殖腺は、艀化後5日までは野生型のXYと同様であるが、艀化後10日では、減数分裂に入った生殖細胞が見られた。これらXY個体は最終的に雌に分化することから、変異ホモXYの生殖腺は最初精巣方向へ分化しているが途中から卵巣方向へと分化の方向を転換していることが明らかとなった。つまり、DMRT1の機能不全により、遺伝的雄メダカであっても生殖腺は卵巣へと分化するのである。さらに、DMRT1ゲノムの導入により変異体の表現型を回復できたことと合わせて、本研究の結果は、DMRT1が精巣分化に必要かつ十分な遺伝子であることを示した。また、突然変異ホモのXX個体の生殖腺分化過程は、正常発生と遜色ないことから、DMRT1の変異は、雌の分化には影響しないと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Analysis of Sexually Dimorphic Expression of Genes at Early Gonadogenesis of Pejerrey Odontesthes bonariensis Using a Heterologous Microarray2011
Author(s)
Fernandino JI, Popesku JT, Paul-Prasanth B, Xiong H, Hattori RS, Oura M, Strussmann CA, Somoza GM, Matsuda M, Nagahama Y, Trudeau VL
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Journal Title
Sexual Development
Volume: 5
Pages: 89-101
DOI
Peer Reviewed
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