2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飯田 弘 Kyushu University, 農学研究院, 教授 (70150399)
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Keywords | 精子 / テクチン / 鞭毛 / 形態形成 / 精子形成 |
Research Abstract |
精子鞭毛の基本構造は微小管からなる軸糸である。哺乳類、鳥類おらび爬虫類の精子では、鞭毛軸糸を取り囲むように軸糸周辺構造体、即ち、外側緻密線維(ODFs)、衛星線維、線維鞘、および多数のミトコンドリアが存在する。本研究の目的は、(1)精子鞭毛の構成成分であるTektin分子群の局在を電子顕微鏡を用いてナノスケールレベルで明らかにする(2)Tektin分子と相互作用する分子をクローニングし、その局在を明らかにすることである。 Tektin分子は生物進化上良く保存されている分子で、分子間相互作用に関わるcoiled-coilモチーフを複数有している。これまでにウニにおいて3種類のTektins(Tektin a, b, c)が報告されている。哺乳類においてもTektin1, Tektin2, Tektin3がクローニングされ、その後我々の研究室において、Tektin4, Tektin5がクローニングされた。ウニ精子の鞭毛やクラミドモナス鞭毛において、Tektinは重合して繊維性分子を形成して軸糸の微小管に結合すると考えられ、軸糸形成やその運動制御に関わると考えられている。哺乳類精子においては、しかしながら、全てのTektin分子が必ずしも軸糸微小管の結合蛋白質ではなく、軸糸周辺構造体の成分として存在することを我々や他の研究室(Cao et al, Mol. Cell Proteom. 5 : 801-810, 2006)が報告した。Tektin4は外側緻密線維の皮質部に、Tektin5は中片ミトコンドリア内側部に濃縮していることが我々の研究によって明らかとなった。Tektin2, Tektin3については精子鞭毛に局在することは確かであるが、その詳細な分子局在は不明である。これらの精子鞭毛における分子局在を明らかにするために、Tektin2, Tektin3に対する特異的抗体を作成し、作成した抗体を用いて、超薄凍結切片(Tokuyasu法)を用いた免疫電顕法、および超音波処理によって抗体透過性にした精子を材料にした前包埋法により、抗原の分子局在をナノスケールレベルで解析した。その結果、Tektin2は外側緻密線維周辺部に,Tektin3は中片ミトコンドリア表層と外側緻密線維周辺部に濃縮して存在することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)