2009 Fiscal Year Annual Research Report
カドヘリンスイッチングが腺下垂体細胞の発生・分化に果たす役割
Project/Area Number |
21570067
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菊地 元史 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (60332988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 幸太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (10409477)
|
Keywords | 解剖学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 発生・分化 / 細胞接着 |
Research Abstract |
我々は、発生期の腺下垂体において、細胞の最終分化に同期して細胞接着因子カドヘリンの型の変化cadherin switchingが起こることを明らかとし、従来から主張されている液性調節に加えて、 cadherin switchingがホルモン産生細胞の最終分化に深く関わっているという仮説を立てている。本研究課題は、cadherin switchingが腺下垂体細胞に与える細胞学的影響を明らかとし、細胞発生・分化に果たす役割を解明ことを目的としている。また、成体下垂体における組織特異的幹細胞の存在について、カドヘリン発現様式を手掛かりに探究することをもうひとつの目的としている。 本年度の研究により、cadherin switchingによって、分化した細胞(E-カドヘリン陰性、N-カドヘリン陽性細胞)と未分化な細胞(E-、N-カドヘリン陽性細胞)が位置的に選別されることがわかった。また、その結果として組織中に形成される未分化な細胞の集団にNotch2リセプターとjagged-1リガンドからなるNotchシグナリングが働いていることを示唆する結果を得ることができた。すなわち、カドヘリンの差次的発現によって未分化な細胞集団が維持される可能性が考え得る。これをサポートする結果として、成体腺下垂体に少数存在するE-、N-両カドヘリン陽性細胞の集団には、 progenitor/stemのマーカーのひとつであるSOX2が高い頻度で発現していることがわかった。加えて、cadherin switchingは、細胞膜直下のactin webに顕著な影響を与えることを明らかにすることができた。cadherin switchingがホルモンの分泌過程にも重要な役割を果たしている可能性を示唆するものと考えている。
|
Research Products
(11 results)