2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ微小脳の化学感覚系における性差形成とその機能の解明
Project/Area Number |
21570072
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
木村 賢一 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (80214873)
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Keywords | 昆虫 / 行動学 / 脳・神経 / 遺伝子 / ショウジョウバエ / 性行動 / 性決定 |
Research Abstract |
我々ヒトを含む多くの動物において、行動パターンには雌雄差が見られる。行動パターンにおける性差を生み出す基盤は、脳の神経回路網にあると考えられる。脳の構造上の性差は発生過程においてどのように形成され、そしてどのように機能しているのかに関しては、多くが謎のまま残されている。本研究では、ショウジョウバエ成虫脳の化学感覚中枢神経回路網に注目し、性決定因子による性差形成機構を明らかに、その機能を解明することを目的とする。 ショウジョウバエ〓節の味覚感覚系における性差を解剖学的・形態学的に調査した。まず、味覚感覚ニューロンで発現するpoxn遺伝子を利用しGFPを発現させ、その中枢神経系での投射を雌雄で比較した。すると、雌では正中線を越えないのに、雄では正中線を越える投射があることがわかった。そこで、この雄特異的な投射パターンを示すニューロンの同定を試みた。味覚感覚ニューロンは化学感覚毛の根元に4つあり、そのうち2つのニューロンでfruitless(fru)遺伝子が発現していることを確認した。前肢〓節第3節に注目し、fru発現味覚ニューロンをGFPでラベルし、体細胞モザイク法により、個々のニューロンの中枢投射パターンを調査した。その結果、特定の化学感覚毛に存在する味覚感覚ニューロンが、雄特異的な中枢投射パターンを示すことが明らかになった。次に、性決定因子Fruの性的二型投射パターン形成に果たす役割を調査した。fru突然変異体では、雄得的な投射パターンが形成されなかった。一方、Fruの強制発現では雌のパターンを雄化することはできなかった。このことから、味覚ニューロンの投射パターンの性差形成にFru以外の因子の関与が示唆された。
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