2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80092352)
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Keywords | キャッチ結合組織 / 棘皮動物 / ナマコ / ウニ |
Research Abstract |
硬さ可変結合組織(キャッチ結合組織)のエネルギー消費量を、ナマコ真皮を用いて調べた。真皮は軟らかい状態、標準状態、硬い状態の3状態をとる。硬い状態のエネルギー消費量VO_2(μl/g/h)は2.45であり、標準状態の1.5倍であった。ナマコ縦走筋のVO_2は、弛緩時が9.21、収縮時が23.5であった。ひずみ2%の際の硬い状態の真皮の硬さは9.49MPa、縦走筋の最大張力は20.4kPであった。これらの測定値に基づいて、ナマコが姿勢維持を、真皮を用いて行う際と、筋肉を用いて行ったとした際とで比べると、真皮を用いる方が1/100のエネルギーで姿勢を維持できることがわかった。キャッチ結合組織を用いるときわめて省エネであることが、はじめて実証された。 標準状態から硬い状態に変化する際、15%もの水が真皮から出て行くことを発見した。ただし、高浸透圧の海水中でそれだけの水を真皮から取り去っても、硬さは増加しなかったため、水の減少が直接硬さ変化を引き起こしているのではない。硬くなる際に疎水結合が増加する等があって水の移動が起こっていると思われる。テンシリンやカルシウムによって軟らかい状態から標準状態に硬さが増加する際には、水の移動はみられなかった。よって、軟らかい状態から標準状態に硬さが増加する機構と、標準状態から硬い状態に硬さが増加する機構とでは、分子機構が異なることが強く示唆された。 ナマコ真皮を軟らかくするペプチドであるホロキニン1の抗体を作成し、ナマコにおける抗ホロキニン1抗体陽性反応を示す場所を調べた。陽性反応は、体壁においては、体壁縦走筋が体壁に結合している部位の結合組織、管足においては,結合組織、筋上皮細胞、内腔中の遊離細胞に見られ、放射神経や管足神経には見られなかった。1E11(棘皮動物神経系を特異的に染める抗体)との二重染色を行ったが、両方に染まる細胞はなかったため、ホロキニンは神経ペプチドではないと思われる。
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Research Products
(13 results)