2010 Fiscal Year Annual Research Report
海水ウナギの飲水行動を調節する脳内神経回路:ホルモン受容から食道収縮まで
Project/Area Number |
21570078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 正昭 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (10100976)
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Keywords | 飲水行動 / アンギオテンシンII / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / クモ膜剥離 / 最後野 / 腹側視索前野 / 血液脳関門 / ユニットスパイク |
Research Abstract |
海水ウナギの飲水行動は、血中で生じたアンギオテンシンII(ANG II)によって促進され、心房からの心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)によって抑えられる。これらのホルモンが作用できる脳部位として、大細胞性視索前核(PM)、前隆起核(NAT)、最後野(AP)が考えられるが(Mukuda et al., 2003)、最近、腹側視索前野(PAV)も血液脳関門がルーズであることが分かってきた(Mukuda,未発表)。そこでこれら4個所にANG IIとANPを作用させて、これらホルモンの脳内受容部位を同定した。PMとNATではこれらペプチドの効果は全く見られなかったが、APの前部(AP1と命名)のニューロンはANG IIによって強く興奮させられた。しかしこれら興奮させられたニューロンの一部は、ANPで弱く抑制され、一部は影響を受けなかったことから、AP1のANG II感受性ニューロンには少なくとも2種類あると考えられる。またPAVの基部(PAV2と命名)には、ANG IIの影響を受けないがANPによって抑えられるニューロンが見つかった。昨年度からクモ膜剥離脳標本を用いることにより、ユニットスパイクが取れるようになり、ペプチドの効果を判断するのが容易になった。しかしAP領域は組織像を見てもニューロンが少なく、スパイクが取れる確率はそんなに高くない。それに金属電極の形状やウナギの状態がスパイクの型に微妙に影響するので、結論を出すのにはもう少し例数が必要である。
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