2009 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原諸島のショウジョウバエの侵入種と固有種に関する生物的・遺伝的多様性の研究
Project/Area Number |
21570096
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
和多田 正義 Ehime University, 理工学研究科, 准教授 (00210881)
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Keywords | 遺伝学 / 昆虫 |
Research Abstract |
本年度は、2009年7月と12月に、小笠原諸島の父島と母島において戸田型トラップとスィーピングによるショウジョウバエの採集を行った。その結果、7月の採集では父島で12種6,152個体、母島で15種9,601個体、計16種15,753個体のショウジョウバエを採集した。また、現在までのところ、12月の採集では父島で10種28,286個体、母島で18種8,454個体、計18種36,740個体のショウジョウバエを計数したが、この中には未記載の2種の雄も含まれている。7月の採集では、近年侵入してきたDrosophila hypocaustaがすでに優占種であることが明らかになり、父島では最優占種であった。また、固有種のD. pectiniferaが父島と母島の優占種であることが示されたが、この現象は夏期の特徴であることが明らかになった。12月の採集では、過去の研究と同様に父島では侵入種のD. simulansが最優占種であり、ついでD. hypocaustaとD. kikkawaiの順に多くの個体が採集された。母島では、D. pectiniferaとD. simulansが優占種であった。D. pectiniferaを除く他の固有種は、自然林でのみ採集された。予備的に行われた核とミトコンドリアの遺伝子の調査では、ミトコンドリアDNAのCO I遺伝子において、固有種であるD. pectiniferaの遺伝的多様性はやや大きく、逆に父島と母島の集団間の遺伝的分化はあまり見られなかった。今後、春期においてショウジョウバエの採集を行い、収集した個体を用いて、侵入種と固有種の遺伝的多様性と分化に関する研究を継続する。
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