2010 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原諸島のショウジョウバエの侵入種と固有種に関する生物的・遺伝的多様性の研究
Project/Area Number |
21570096
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
和多田 正義 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00210881)
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Keywords | 遺伝学 / 昆虫 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
本年度は、2010年4月に、小笠原諸島の父島と母島において戸田型トラップとスィーピングによるショウジョウバエの採集を行った。その結果、父島で16種29,723個体、母島で16種23,126個体、計18種52,849個体のショウジョウバエを採集した。2010年4月の採集では、近年侵入してきた南方系のDrosophila hypocaustaは4%ほどに減少していたが、D.simulansが53%、固有種のD.pectiniferaが26%であり、従来個体数の少なかった侵入種のD.suzukiiは12%に増加してきており、小笠原諸島の生物多様性が増加していることが明らかになった。 小笠原諸島における過去の採集により得られたアルコール標本をもとに、父島と母島の侵入種(D.melanogaster, D.simulans, D.kikkawai, D.hypocausta)及び固有種(D.pectiniferaとDichaetophora ogasawarensis)について、核とミトコンドリアの遺伝子の塩基配列を調査し、侵入種や固有種の遺伝的多様性、それぞれの種について父島と母島の集団間の遺伝的分化の研究を行なった。小笠原諸島の侵入種である4種はミトコンドリアDNAのCOI(チトクローム酸化酵素I)、COIIなど3つの遺伝子で多型的であり、ハワイで調査されている侵入種の場合とは異なった。ただし、D.kikkawaiを除けば父島と母島間での遺伝的分化はみられなかった。小笠原諸島の固有種であるD.pectiniferaとDi.ogasawarensisでは遺伝的多型の程度は大きいものの、2島間での遺伝的分化は大きいものではなかった。侵入種と固有種の両方において、核の遺伝子のダイレクトシークエンスは有効ではなかったので、今後は方法を変えて行なうことにする。
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Research Products
(4 results)