2011 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原諸島のショウジョウバエの侵入種と固有種に関する生物的・遺伝的多様性の研究
Project/Area Number |
21570096
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
和多田 正義 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00210881)
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Keywords | 遺伝学 / 昆虫 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
平成21-22年度に小笠原諸島の父島と母島で採集した固有種3種(Drosophila pectinifera, Dichaetophora gawarensis, Scaptomyza hexastica)、及び侵入種3種(D.hypocausta, D.kikkawai, D.suzukii)の遺伝的多様性と父島と母島間における遺伝的分化を、ミトコンドリアDNAのシトクロームオキシダーゼサブユニット1(COI)とCOIIの塩基配列を調査することにより研究した。その結果、固有種3種の遺伝的多様性は非常に高く、父島と母島の間の集団間の遺伝的分化も大きかったが、ハプロタイプ解析によると固有種3種ともに両島間の移住もわずかながら推定された。一方、侵入種3種の遺伝的多様性はD.hypocaustaでは非常に大きく、D.suzukiiでは小さかった。D.kikkawaiでは母島集団の遺伝的多様性は全くなかったが、父島では遺伝的分化が大きいという結果が得られた。このことを解明するために近縁種との系統樹を作成したところ、父島集団内の遺伝的分化は近縁種による遺伝子流入によるものであることが明らかになった。さらに侵入種3種の父島と母島間の遺伝的分化を調査したところ、遺伝的には3種とも両島間の移住が見られ、遺伝的多様性の結果から父島に侵入した後,母島に移住した可能性が考えられた。本研究によって、小笠原諸島のショウジョウバエに関しては固有種の遺伝的多様性と遺伝的分化は両島で十分維持されていることが明らかとなり、ショウジョウバエだけでなく小笠原諸島の固有動物を保護する上での重要な知見となった、また、侵入種に関してはその起源を明らかにすることはできなかったが、父島への侵入阻止が重要であるこ.と、及び侵入種の起源に関しては今後の研究方向が示された。
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Research Products
(3 results)