2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570113
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40177697)
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Keywords | 蛋白質 / GroEL / アミロイド線維 / 天然変性 / シャペロニン / αシヌクレイン |
Research Abstract |
タンパク質が本来有する柔軟性が果たす役割についてさらに継続的に研究を行い,以下のような成果を得た。 1:シャペロニンGroELの機能と柔軟性末端導入との関連性 シャペロニンGroELの本来のN末端とC末端をリンカーで連結し,新たなN末端とC末端を導入することで,シャペロニンの機能特性がどのように変化するかを調べた。GroELのアピカルドメイン内に,新たなN末端,C末端を異なる位置に導入したところ,すべての変異体でATPase活性は野生型の80-90%を保持することが分かった。しかし,GroES存在下ではATPase活性は野生型と異なり,あまり抑制効果が見られなかった。ロダネーゼを用いたリフォールディング活性も若干低下するものの活性は保持されていた。しかしながら,アピカルドメインの動きは,新たなN末端とC末端の導入による柔軟性の向上によって野生型と大きく異なっていることが明らかになった。 2:天然変性蛋白質αシヌクレインのアミロイド線維形成 αシヌクレインは特定の構造を持たない天然変性タンパク質であり,アミロイド線維を形成し,パーキンソン病の原因タンパク質である。この蛋白質のアミロイド線維核部位ペプチドはすでに我々は同定しており,今回そのペプチドに対する抗体を用いて,アミロイド線維形成が抑制されるかどうかを調べた。その結果,αシヌクレインタンパク質に対してモル比で約1/20の抗体を添加することで効率よくアミロイド線維形成を抑制することができることが分かった。このことは,抗体は柔軟性に富んだ単量体ではなく,オリゴマー状態の分子種を認識していることを示唆している。
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