2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型シアリダーゼによるEGFRシグナル伝達系の新奇調節機構の解明
Project/Area Number |
21570122
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山口 壹範 Miyagi Cancer Center Research Institute, 生化学部, 副主任研究員 (80373215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立野 紘雄 宮城県立がんセンター・(研究所), 病理部, 部長 (70004744)
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Keywords | シアリダーゼ / シグナル伝達 / 上皮増殖因子 / 糖鎖 |
Research Abstract |
1、発がん剤azoxymethaneと炎症を誘発させるdextran sulfate sodiumの投与により、マウスに大腸がんを発生させたところ、Neu3ノックアウトマウスで腫瘍の発生頻度が低下していた。これは発癌剤投与により生じた異常細胞がアポトーシスにより排除されたことを示唆している。また発生した腫瘍の大きさはコントロールと差が認められず、これは腫瘍の増殖にはNeu3ノックアウトの影響が無いことを示唆している。 2、発がん剤投与後の大腸粘膜において、EGFRのリン酸化が低下していることがウェスタンブロットにより認められ、ノックアウトマウスではEGFRシグナル伝達系が抑制されていることが示された。同様の実験で、ヒトNEU3を過剰発現するトランスジェニックマウスでは発癌剤投与後にEGFRのリン酸化が亢進し、これによりアポトーシスが抑制されていることを報告している(Shiozaki, et al, Cancer Sci.2009)。以上の結果はNeu3がEGFRシグナル伝達系の制御に深く関与していることを示している。 3、またこの結果は、Neu3が炎症そのもの、あるいは炎症によりにより引き起こされる生体応答に関与している可能性も示している。現在までに炎症に重要なサイトカインであるIL-6、-23、あるいは炎症のメディエーターであるCOX-2の大腸粘膜におけるmRNAレベルを検討したところ、ノックアウトマウスとコントロールで差は認められなかった。さらに炎症に関与する他のシグナル分子の活性化に関して検討を行っている。
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Research Products
(4 results)