2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型シアリダーゼによるEGFRシグナル伝達系の新奇調節機構の解明
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21570122
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山口 壹範 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 副主任研究員 (80373215)
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Keywords | シアリダーゼ / シグナル伝達 / 上皮増殖因子 / 糖鎖 |
Research Abstract |
1、Azoxymethane (AOM)誘導性の大腸発がんモデルにおいて、Neu3ノックアウトマウスの感受性を調べたところ、コントロールとの差が見られないことがわかった。一方で、炎症を誘発させるdextran sulfate sodiumとAOMとの併用実験において、大腸がんの発生が有意に低下していた(昨年度)。以上の結果は、このモデル系においてNeu3は炎症反応の調節を介してがん発症に関与していることを示唆している。 2、上記の結果を受け、炎症に関与するシグナル伝達系におけるNeu3の関与を検討した。その結果、Neu3ノックアウトマウスにおいて、心臓(通常Neu3の発現が高い)においてNF-kBの発現が低下していることが明らかになった。 3、Neu3の基質であるガングリオシドの組成を、ノックアウトマウスとコントロールマウスで、薄層クロマトグラフィーにより比較したところ、脳および大腸粘膜から調製した糖脂質においては大きな差は見られなかった。このことはNeu3によるシグナル伝達制御やノックアウトマウスで観察された炎症性大腸がん発症の抑制が、ガングリオシド組成の変化を介していないことを示唆している。ガングリオシド組成に変化が見られなかったのは、他のシアリダーゼ(Neu1、Neu4)がガングリオシド代謝を補償していたものと推定される。
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