2009 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの染色体凝縮因子の構造生物学的及び分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
21570125
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鎌田 勝彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (70360526)
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Keywords | 染色体凝縮 |
Research Abstract |
コンデンシンは、染色体構築において中心的な役割を果たす蛋白質複合体である。バクテリアにおいても、単一のSMCサブユニットと二種類のnon-SMCサブユニット分子が広く保持されている。個々のnon-SMCサブユニットがどのような構造的基盤を介しながらSMCサブユニットの活性を制御し、染色体凝縮とその構築へと機能しているのか明らかにするため、枯草菌のコンデンシン複合体の機能領域を同定し、それらの生化学的性質を調査した。 枯草菌のSMCサブユニットのATP加水分解反応を担う領域(ヘッド・ドメイン)とnon-SMCサブユニット(ScpA,ScpB)を大腸菌内で発現させ精製した。ScpAはN末端、中央、C末端の三つのドメイン領域から構成される。そのC末端領域はヘッド・ドメインと相互作用し、N末端から中央にかけての領域はScpBと強固に結合した。これまで、ScpAとScpBとの結合比は等量であるとこれまで報告されてきたが、今回の詳細な解析から、それらは1:2で結合することがわかった。この結合比はヘッド・ドメインの存在下でも変わらなかった。 ヘッド・ドメインの変異体を用いて、ATP存在下においてサブユニット間の結合状態を調査した結果、ScpA-ScpBサブユニット複合体に結合したヘッド・ドメインは、それ自身と会合するよりも、ScpA-ScpBサブユニットを含まないヘッド・ドメインと優位に結合することがわかった。このことは、SMCサブユニットのヘッド・ドメインの会合が、ScpA-ScpBサブユニット複合体の存在によって制御されていると考えられた。
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