2010 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの染色体凝縮因子の構造生物学的及び分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
21570125
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鎌田 勝彦 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (70360526)
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Keywords | 染色体凝縮 |
Research Abstract |
コンデンシンは、染色体構築において中心的な役割を果たす蛋白質複合体である。バクテリアにおいても、単一のSMCサブユニットと二種類のnon-SMCサブユニット分子(ScpAとScpB)が広く保持されている。個々のnon-SMCサブユニットがどのような構造的基盤を介しながらSMCサブユニットの活性を制御し、染色体凝縮とその構築へと機能しているのか明らかにすることが大きな目標の一つである。 本年度は、これまでの生化学的解析でわかったnon-SMCサブユニットやその機能ドメイン領域を枯草菌内で過剰に発現させることによって細胞内での役割を調査した。二つのサブユニットの遺伝子は一つのオペロンとして発現され、どちらの破壊株もsmc破壊株と同様に、高温で致死性を示す。この特性を利用するため、まず内在性のscpAとscpBの発現量をIPTGの添加で操作可能な株を構築した。さらに、その株を基に、キシロースの添加によって各non-SMCサブユニットの全長や機能ドメインを発現誘導可能な株を構築し、その生育を指標に解析を進めた。 ScpBは二つのドメインで構成され、N末端側のドメインの過剰発現はドミナントネガティブの形質を示したが、一方でC末端側ドメインの発現はSMC蛋白質の機能を促進する効果があると示唆された。ScpAにおいても、ScpBが結合すると考えられる領域に変異を導入し過剰発現させると、ドミナントネガティブの形質を示した。これらの結果から、ふたつのnon-SMCサブユニットともSMC蛋白質の機能を促進するように働くことがわかった。
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