2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋小胞体カルシウムポンプ細胞質ドメインの動きにおける静電的相互作用の役割の解析
Project/Area Number |
21570127
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60241428)
|
Keywords | 筋小胞体 / カルシウムポンプ / 静電的相互作用 / イオン輸送 / 酵素反応速度論 / 部位特異的変異 / Ptype ATPase / 機能構造連関 |
Research Abstract |
前年度までに、筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseの静電的相互作用の役割を明らかにするため、P-Nヒンジ領域に存在する荷電側鎖の置換変異体作成し、E1P-E2P転換速度の変化および付近の電気力線の変化から、この領域の電荷がE1P-E2P転換ステップに重要な役割を持つことを明らかにしていた。今年度はCa^<2+>-ATPaseの反応サイクルにおける静電的相互作用の寄与を定量的に示すことを試みた。この目的のため、溶液の塩濃度を変化させることにより、静電的相互作用の強度を変化させ反応速度への影響を調べたところ、野生型Ca^<2+>-ATPaseはK^+存在下で塩濃度を増加させた場合、E1P-E2P転換速度は濃度に応じて低下することが分かった。このことはE1P-E2P転換ステップにおいてK^+静電的相互作用が促進効果を持つことを示唆している。しかしながらK^+非存在下では塩濃度を変化させてもE1P-E2P転換速度は変化せず、静電的相互作用はこのステップにおいて大きな影響を持たなかった。この結果はK^+の結合したE1PとK^+の結合していないE1Pは異なる経路を通ってE2Pに転換する可能性を示している。このとき静電的相互作用を定量化するため、横軸に活量係数の2乗、縦軸に反応速度の対数をとるプロットをしたところ、良い直線性が得られ、傾きとy切片から、静電的相互作用の影響とそれ非静電的な力の関与を見積もることが出来るようになった。このプロットを用いて、変異体の解析を行ったところ、R556EとR638Dでは、K^+存在下でE1P-E2P転換を促進する静電的相互作用が影響を受けてこの速度遅くなっているが、非静電的な部分に影響が出ていないことが明らかとなった。このプロットによる静電的相互作用の関与の見積もりは他の酵素反応でも有用であると考えられ、反応解析の重要なツールとなりうる。
|
Research Products
(6 results)