2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類のメチオニン合成に関与する酵素の性質に関する研究
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21570132
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 和弘 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 特任准教授 (90431973)
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Keywords | 酵素化学 / 栄養化学 |
Research Abstract |
メチオニンの代謝物であるホモシステインは、心疾患のリスクファクターであるなどヒトの疾患と密接に関わっていることから、その代謝に関心が高まっている。しかし、メチオニン代謝酵素の性質には不明な点が多くある。本研究ではメチオニン代謝に関与する酵素、特に、ビタミンB_<12>依存性メチオニン合成酵素(MS)とその補助酵素であるメチオニン合成酵素還元酵素(MSR)の生化学的性質を明らかにすることを目的としている。MSRには共通遺伝子多型が知られているが、この遺伝子変異によるアミノ酸置換が酵素の性質に与える影響については詳細な検討は少ない。昨年度に構築が成功したMSRの発現・精製系を用いて、大量にヒトMSR野生型(22番目のアミノ酸残基がイソロイシン)および、共通遺伝子多型で生成されるイソロイシン→メチオニン置換体の調製を行った。精製した野生型、メチオニン置換変異体の紫外・可視吸収スペクトルから、両者ともフラビンを含むタンパク質として得ることができたと考えられた。しかし、メチオニン変異体MSRの見かけの分子量の増加が電気泳動上で確認されたことから、変異体酵素では何らかの翻訳後修飾が起こることが推測された。また、MSとの相互作用に及ぼす変異の影響を検討する目的で、MSR依存的なMS活性の測定を、精製酵素を用いて行った。その結果、MSは、MSR野生型、メチオニン変異体の存在によって同様の活性を示した。したがって、この変異はMSの再活性化に影響を及ぼさないことが示唆された。また、MSRの新規機能を探求する目的で、昨年度までに大量発現・精製に成功したヒト・シスタチオニンβシンターゼを用い、MSRとの相互作用の可能性を検討した。しかし、これまでに両タンパク質が協調的に機能するという結果は得られていない。
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