2010 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1リン酸輸送体の同定とその多様性の解明
Project/Area Number |
21570137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 毅 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60403002)
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Keywords | SPNS2 / スフィンゴシン1リン酸 / 輸送体 / 血球細胞 / 組織発現 / ATP |
Research Abstract |
我々はこれまで、脂質メディエーターであるフィンゴシン1リン酸(S1P)の細胞外への放出機構を明らかにすべく解析を進めてきた。最近我々は、ゼブラフィッシュにおいてS1P輸送体SPNS2を同定した。この輸送体は哺乳動物にオルソログやホモログをもち、ヒトにはSPNS1から3まで3種類のホモログが存在する。しかしこの内、SPNS2のみがCHO細胞にスフィンゴシンキナーゼを発現させた細胞を用いた測定で、S1P放出活性を示した。SPNS1およびSPNS3は細胞膜に局在せず、細胞外へS1Pを放出できなかった。これらの蛋白質はすべて組織での局在部位が異なっており、また、その組織発現パターンも異なっていた。このことは哺乳動物個体においてSPNSホモログが異なる働きをしていることを示している。 これまでに我々はS1Pの放出活性を持つ血小板や赤血球において、その活性はglyburide感受性で、ATPが必要であることを明らかにしている。そこで、SPNS2の生理的役割を明らかにするため、glyburideおよびATP依存性を調べたが、いずれもS1P輸送活性に影響を与えなかった。このことからこれら血球細胞からのS1Pの放出にSPNS2は関与していないことが明らかとなった。その生化学的な性質を明らかにするため、エネルギー依存性や阻害剤感受性を調べたが、これまでに有力な候補が得られていない。また、その輸送活性は細胞内から細胞外への1方向性であり、細胞外のS1Pを細胞内へ輸送する活性を見いだせていない。これまでの結果からSPNS2は膜に形成されたS1Pの濃度勾配に従って細胞内から外へS1Pを輸送するチャネル様の活性を持つ輸送体であると考えている。
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[Journal Article] The sphingosine 1-phosphate transporter, Spns2 function as an exporter for the phosphorilated form of immunomodulating agent FTY720 from the cells.2011
Author(s)
Hisano, Y., Kobayashi, N., Kawahara, A., Yamaguchi, A., Nishi, T.
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Journal Title
J.Biol.Chem
Volume: 286
Pages: 1758-1766
Peer Reviewed
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