2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ras、RhoファミリーGTPaseによる細胞内部位特異的シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
21570138
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 孝哉 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (20251655)
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Keywords | Racl / Rho / Rapl / インスリン / 骨格筋 / 糖取り込み / 血管形成 / 中心体 |
Research Abstract |
本年度は、Rhoファミリーに対するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)からなるDblファミリーに属する分子の一種であるARHGEF10の機能解析を進めた。まず、プルダウンアッセイによって基質特異性を検討し、RhoAを特異的な標的としていることを明らかにした。次に、siRNAによってARHGEF10をノックダウンすると、分裂装置が多極化することが明らかとなった。RhoAを部分的にノックダウンした場合にも、同様に分裂装置の多極化が観察された。また、ARHGEF10のノックダウンによる分裂装置の多極化は、活性型RhoAの異所性発現によって回復した。以上の結果より、ARHGEF10は、RhoAを介して、細胞周期進行に伴って中心体数が適正になるように制御していると考えられる。細胞分裂の際の中心体数の異常が起こる原因としては、中心体複製の異常と細胞質分裂の異常による多核化が考えられる。そこで、FACSにより検討したところ、ARHGEF10をノックダウンした細胞においても多核化の有意な上昇は認められなかった。したがって、ARHGEF-RhoA経路は、中心体の複製過程を調節しており、過剰な複製が起こらないようにしていると考えられた。さらにARHGEF10と相互作用する分子として、キネシン様モーター蛋白質の一種であるKIF3Bを同定した。特異的な相互作用は、酵母ツーハイブリッド法や共免疫沈降法により確認された。さらに、KIF3Bをノックダウンした細胞でも分裂装置の多極化が観察された。したがって、KIF3Bは、ARHGEF10の活性や細胞内局在を制御することで、RhoA依存的な中心体複製の負の制御系の調節に関与していることが示唆された。
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Research Products
(9 results)