2010 Fiscal Year Annual Research Report
Ras、RhoファミリーGTPaseによる細胞内部位特異的シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
21570138
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 孝哉 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (20251655)
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Keywords | Rac1 / インスリン / 糖取り込み / 骨格筋 |
Research Abstract |
本年度は、骨格筋におけるインスリン依存性糖取り込みのシグナル伝達系の解析を行った。これまでの培養細胞を用いた研究から、このシグナル伝達系においてはRhoファミリーGTP結合蛋白質Rac1が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。そこで、マウス骨格筋においても、インスリン応答性の糖取り込みにRac1が重要であるかどうか、検討を行った。エレクトロポレーション法により、糖輸送担体GLUT4のレポーターの発現ベクターをマウス骨格筋に導入した後、発現したGLUT4レポーターの細胞外領域のタグを免疫蛍光染色法により検出することで、GLUT4の細胞膜への移行(糖取り込み)を評価した。その結果コントロールマウスの骨格筋においては、尾静注により投与したインスリンに応答したGLUT4レポーターの細胞膜への移行が観察されたが、骨格筋特異的rac1ノックアウトマウスではそれが完全に抑制されていた。一方、恒常的活性型Rac1の発現により、コントロールマウスでも骨格筋特異的rac1ノックアウトマウスでも、インスリン刺激がない状態で、GLUT4の細胞膜移動が誘導された。以上の結果より、インスリン応答性の糖取り込みにRac1が重要であることが、マウス骨格筋においても示された。内在性のGLUT4分子の電子顕微鏡観察からも、同様の結論が導かれた。さらに、従来インスリン受容体の下流でGLUT4の細胞膜移行を誘導する重要なシグナル伝達分子と考えられていたセリントレオニンキナーゼAktとRac1との関係についても、マウス骨格筋の系で検討を行った。コントロールマウスおよび骨格筋特異的rac1ノックアウトマウスにインスリンを尾静注した後、単離した骨格筋におけるAktの473番目のセリンのリン酸化を解析したところ、両者に有意差は認められず、Rac1はAktの上流では機能していないことが示唆された。
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Research Products
(8 results)