2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能プロテオミクスを用いたカルモデュリン標的分子の網羅的同定と情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
21570143
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
徳光 浩 香川大学, 医学部, 准教授 (20237077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 良二 香川大学, 医学部, 教授 (00020917)
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Keywords | PRG-1 / Calmodulin / シナプス / 機能プロテオミクス / LC-MS/MS / カルシウム情報伝達 / 樹状突起 / 海馬 |
Research Abstract |
生体内において細胞内カルシウムの細胞内情報伝達因子としての重要性は疑う余地はなく、中枢神経系においても神経伝達物質の放出さらには、遺伝子発現調節にいたる様々な独立した細胞内反応機構を介して、統合的に高次機能を制御していると考えられる。このカルシウムシグナル伝達機構の中でも、カルモデュリン(CaM)を介した経路は中心的な役割を果たしている。前年度(平成21年度)において、質量分析法を用いた機能プロテオミクスによりCa^<2+>/CaM複合体の結合標的分子の網羅的同定をラット脳より行った。その結果、既知の36種類のCaM-結合タンパク質と新規のCaM-結合タンパク質としてWolframinを同定した。さらに得られた新規CaM-結合タンパク質の候補分子群を解析した結果、本年度はPRG-1 (plasticity related gene 1)を新たなCaM-結合タンパク質として同定するに至った。本研究よりPRG-1が試験管内においてCa^<2+>/CaM複合体と高親和性(Kd=8nM)に相互作用するのみならず、培養細胞においてもその相互作用が確認された。またCa^<2+>/CaM複合体と相互作用する分子内のSer554-Gln588の領域を特定し、その中でもTrp559とIle578がCa^<2+>/CaM複合体との結合に重要であることを変異体を用いたSPR解析や合成ペプチドを用いた蛍光測定により明らかにした。さらにはPRG-1の免疫染色より,PRG-1は中枢神経系特に海馬に豊富に存在し、海馬神経細胞の樹状突起のシナプス後膜に局在することが明らかとなり、ポストシナプスにおけるPRG-1の機能はCa^<2+>/CaM複合体との相互作用により制御される事が推定された。
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