2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム輸送性V-ATPアーゼのサブユニット構造に関する遺伝子工学的研究
Project/Area Number |
21570144
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柿沼 喜己 Ehime University, 農学部, 教授 (80134394)
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Keywords | ナトリウム / V-ATPアーゼ / サブユニット |
Research Abstract |
(i) 腸球菌ナトリウム輸送性V-ATPaseのATPase触媒部分V1は、NtpA,NtpB,NtpD,NtpGサブユニットから構成されているが、各サブユニット間の相互作用の詳細についてはほとんど明らかになっていない。V1複合体形成に関わるサブユニット間相互作用を生化学的に解析にするためにV1部分の再構成系の構築を試みた。NtpA,NtpB,NtpD-NtpG heterodimerそれぞれを大腸菌大量発現系で精製し、マグネシウムイオンやヌクレオチド存在下に触媒活性を有するV1部分の形成を検討した。その結果、NtpAはヌクレオチド結合能を有しているが、NtpB,NtpD-NtpG heterodimerにはヌクレオチド結合を有しないこと、マグネシウム、ヌクレオチド存在下で、ATP加水分解活性を有するnative V1と同様なNtpA(3)NtpB(3)NtpD-NtpG(1:1)の複合体の形成に成功した。 (ii) V-ATPaseのV0部分でNtpKリングとともにイオン輸送経路を形成するNtpIサブユニットの構造を明らかにする上で、NtpIに作用する特徴的なリガンドの作用機作の解明も有効なアプローチの一つである。V-ATPase/F-ATPase共通してトリブチルスズにより特異的に阻害を受けることから、NtpI(a)サブユニットにトリブチルスズ作用点であることが示唆されている。腸球菌V-ATPaseのNtpIサブユニットは他のV-ATPase/F-ATPaseと異なりトリブチルスズにより活性阻害を全く受けない特徴的な性質を有することを明らかにし、トリブチルスズ作用機作を考察する上で重要な知見のひとつを提示した。
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