2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖機能制御プローブによるウイルス受容体機能の解明と感染制御
Project/Area Number |
21570146
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
左 一八 静岡県立大学, 静岡県立大学薬学部, 准教授 (20260226)
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Keywords | インフルエンザウイルス / デングウイルス / 受容体 / 糖鎖 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,デングウイルスについて、吸着・侵入過程における受容体糖鎖分子の機能に着目し、受容体糖鎖機能制御化合物(プローブ)を用い、ウイルス初期感染における受容体糖鎖機能および病態形成機構を解明する。さらに糖鎖機能制御プローブの低分子化・標的分子特異性向上による分子最適化により、新規作用機序を持つウイルス侵入阻害剤を創出する。平成22年度、以下の具体的な研究項目を実施した。なお、両項目の実施にあたり連携・研究協力者と協同して研究を行った。 1. ウイルス-受容体糖鎖模倣機能制御プローブとの相互作用の解析 表面プラズモン共鳴法により、デングウイルスEタンパク質-グリコサミノグリカン相互作用を解析するための高感度化システムを確立した。本法を用いて、デングウイルス感染阻害作用を示す2種類のグリコサミノグリカン、ヘパリンとコンドロイチン硫酸E(CSE)との結合親和性に違いがあることが明らかとなった。ヘパリンとCSEとの糖鎖構造比較により、デングウイルス感染阻害効果に必要な最小糖構造として硫酸化グルクロン酸を推定した。その構造情報に基づき、グルクロン酸の種々の硫酸化誘導体を化学合成し、その抗デングウイルス効果を検討した。その結果、Eタンパク質高親和性プローブとしてメチル-α-3-O-硫酸化グルクロン酸を創出した。 2. 糖鎖生合成阻害剤によるウイルス受容体機能発現の制御 感染感受性細胞において、複合糖鎖分子を生合成する糖転移酵素阻害剤の抗デングウイルス活性をスクリーニングした結果、受容体糖鎖分子を含む複合糖鎖発現抑制に伴い、ウイルス感染・増殖能が著しく低下することを見出した。本阻害剤は糖鎖機能制御プローブのみならず、抗デングウイルス剤リードとなることが期待される。
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