2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経発生とアポトーシスに関わる脳特異的ムチン型糖鎖合成酵素の機能解析
Project/Area Number |
21570148
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
黒坂 光 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (90186536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
瀬尾 美鈴 京都産業大学, 工学部, 教授 (60211223)
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Keywords | 神経科学 / 糖転移酵素 / アポトーシス / RNAi / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
我々のグループはムチン型糖鎖の機能および生合成調節機構の解明を研究の目的としている.我々は以前,脳に特異的に発現する2種類の糖転移酵素のクローニングに成功した.我々はこの酵素の神経発生・分化における機能を解析する目的で,培養細胞系(マウス胚性癌腫細胞株P19細胞)とモデル生物系(ゼブラフィッシュ)の2つの実験系を用いて機能解析を行った.P19細胞はレチノイン酸処理により神経系の細胞へと分化するが,RNAiを用いて2種類の糖転移酵素の発現を抑制したところ,pt-GalNAc-Tとよばれるアイソザイムを抑制したときに顕著にP19細胞の神経分化が抑制され,アポトーシスによる細胞死が見られた.また,ゼブラフィッシュの初期胚にアンチセンスRNAを注入してpt-GalNAc-Tの発現を抑制したところ,P19細胞と同様に顕著な神経発生異常を観察した.培養細胞,ゼブラフィッシュのそれぞれの系で,神経分化あるいは発生に関わるマーカー分子の発現をRT-PCR, in situ hybridizationなどにより観察したところ,それらの発現が消失する,あるいは異所的に発現するなどの変化をきたしていることを見いだした.ゼブラフィッシュの実験から,pt-GalNAc-Tの発現抑制が,後脳領域の発生,特に発生初期における後脳のコンパートメントの形成と神経細胞の特異化において重要な役割を担っていることが明らかとなった.また,眼の発生にも影響を与えており,発現抑制胚では視神経の形成が阻害されていることを見いだした.
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Research Products
(2 results)