Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徹 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90202192)
瀬尾 美鈴 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (60211223)
中村 直介 京都産業大学, 工学部, 講師 (30424964)
中山 喜明 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (40512455)
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Research Abstract |
本研究課題では神経発生・分化におけるムチン型糖鎖の機能の解明を研究の目的としている.我々は以前に脳に特異的に発現するムチン型糖鎖の生合成に関わる糖転移酵素をクローニングした.この酵素遺伝子は,精神発達遅滞を伴う遺伝性疾患であるWilliams-Beuren症候群において欠失が認められる遺伝子の一つでもあるため,本疾患との関連も注目されている.我々は今年度,この酵素の生化学的性質を解析し,酵素をいくつかのほ乳類細胞で発現させたときに,Golgiに局在していることを見いだした.このことからin vitroでの活性が検出されていない本酵素が,他の糖転移酵素と同じくGolgiにおいて糖鎖付加反応を触媒していることが示唆された.さらに,ゼブラフィッシュの初期胚に,開始コドンを含む領域,およびスプライシングに関わる領域に対する計3種類のアンチセンスRNAを注入して,酵素遺伝子の発現を抑制したところ,いずれのアンチセンスRNAにおいても神経発生,特に後脳領域の発生異常が再現性高く観察されることがわかった.後脳発生の比較的後期で後脳境界とコンパートメントの形成に関わるfringeなどのマーカー分子の発現を,糖転移酵素の発現抑制胚においてin situ hybridizationにより調べたところ,それらの発現パターンの異常が認められた.以上の結果から,脳特異的な糖転移酵素が,後脳領域の発生,特に後脳の境界とコンパートメントの形成,およびその後の神経細胞の特異化において重要な役割を担っていることが考えられた.
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