2009 Fiscal Year Annual Research Report
酵素の立体構造に基づくスフィンゴ脂質代謝制御の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
21570149
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
生城 浩子 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (10280702)
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Keywords | 酵素反応 / タンパク質 / スフィンゴ脂質 / 生体分子 |
Research Abstract |
セリンパルミトイル転移酵素(SPT)は,L-セリンとパルミトイル-CoA(PalCoA)の縮合脱炭酸反応を触媒する.L-セリン結合型SPTの結晶化に成功し,立体構造を決定した.その結果,SPTにL-セリンだけが結合した状態(PalCoA非存在下)ではL-セリンのカルボキシル基と活性中心のHis残基の間で水素結合が形成され,キノノイド中間体生成には不利な配向にあることが判明した.SPTの基質結合の過程は,PalCoAの結合に伴いSPTが構造変化し,活性中心のHis残基が水素結合の相手をL-セリンからPalCoAへと移すことによって完了する.それまでは反応性の高いキノノイド中間体の生成が抑制されている.この考察を実験的に証明するため,His残基変異型SPTを作製し,酵素反応の素過程を詳細に調べた.その結果,活性中心内でL-セリンを正しい配向で認識することによって,酵素を不活化する副反応を抑制するとともに,PalCoA結合後は酸触媒としてL-セリンとの縮合脱炭酸反応を促進するというHis残基の触媒基としての重要性と多機能性が明らかになった. スフィンゴシン-1-リン酸リアーゼ(SPL)については,SPL全長タンパク質を大腸菌内で大量発現させると,大部分が不活性な封入体となって不溶化・沈殿したため,発現系の改良を行った.N末端の膜結合領域の欠失変異体を作成し,大腸菌の培養条件を再検討したところ,ほとんど封入体を生じない発現系が得られた.組み換えタンパク質の精製法を確立し,現在,結晶化のスクリーニングを継続中である.
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Research Products
(7 results)