2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経系小胞体ストレスのニコチンとNGFによる防御機構の応用的比較研究
Project/Area Number |
21570152
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池内 俊彦 Kansai University, 化学生命工学部, 教授 (20093362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下家 浩二 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (10351496)
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Keywords | 神経細胞 / 細胞内シグナル伝達機構 / 小胞体ストレス / 神経変性疾患 / ニコチン / ニューロトロフィン / 神経成長因子 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
近年の日本では、人口の高齢化が急速に進み、高齢化社会への医学的な対応が急務となっている。特に、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患のような不可逆的で治療法が確立されていない難病に対する対応は急務である。これら神経変性疾患において、脳内の一部の神経細胞が、小胞体ストレスにさらされることにより、アポトーシス(プログラム細胞死)によって死滅することが知られている。我々は、モデル神経細胞であるPC12細胞を用いて、小胞体ストレス誘導型アポトーシスの実行機構と、神経成長因子(NGF)による同アポトーシス抑制機構の研究を行って来たが、最近、ニコチンも小胞体ストレス誘導型アポトーシスを防御することを見出した。本研究では、神経系小胞体ストレスのニコチンとNGFによる防御機構を分子レベルで詳細に比較することを目的とした。本年度はまず、ニコチンが小胞体ストレスのどの段階を抑制するのかを詳細に解析した。その結果、ニコチンは小胞体ストレスの最初期段階で、つまり小胞体ストレスセンサー蛋白質の活性化以前の段階で、小胞体ストレスそのものの発生を抑制することにより、小胞体ストレス誘導型アポトーシスを防御することを見出した。一方、NGFは、小胞体ストレスに対する応答機構は抑制できず、むしろ小胞体シャペロンGRP78の発現を加速上昇させ、生じたGRP78が折り畳み不良蛋白質をフォールディングし直すことによって、小胞体ストレスを軽減させることがわかった。以上のことから、ニコチンとNGFは、神経細胞における小胞体ストレスを抑制・防御する機構が異なることが判明した。したがって、両者または両者の作用機構を増進させる方策を共存させれば、相加・相乗効果が出ることが示唆された。
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Research Products
(10 results)