2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルセリン代謝異常は哺乳細胞のオートファジーを誘導するか?
Project/Area Number |
21570155
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
谷田 以誠 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (30296868)
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Keywords | オートファジー / タンパク分解 / ホスファチジルセリン / LC3 / ATG |
Research Abstract |
哺乳細胞におけるホスファチジルセリン合成異常とオートファジーおよびオートファジー性細胞死との関係性を明らかにするために、本研究では、ホスファチジルセリン合成異常変異CHO株を用いて、オートファジーの誘導と、その時のオートファジーはオートファジー性細胞死かどうか?について研究を続けている。ホスファチジルセリン合成異常変異CHO細胞株は、ホスファチジルセリンを培地に添加していると生存できるが、ホスファチジルセリンを培地から欠乏させると、生存率が低下し、3日目には多くの細胞が死ぬ。このとき、制限条件におけるオートファジー誘導を調べると、ホスファチジルセリンを欠乏させて、24時間以内にオートファジーのマーカーであるLC3-IIの顕著な蓄積が認められた。このオートファジーが誘導されたのち、24-48時間後に細胞死が認められた。このことは、細胞死に至るまでにオートファジーが細胞保護的に働いている可能性がある。オートファジーを引き起こすにはホスファチジルエタノールアミンが必須であるため、ホスファチジルセリンの不足がエタノールアミンあるいは、その合成の場であるミトコンドリアの機能維持に影響を与えている可能性があるため、今後、その点を検討していく。また、これがCHO細胞特有の現象ではなく、哺乳細胞に普遍的な現象であるかどうかをしらべるために、ヒト肝細胞由来のHuh7細胞を用いて同様の現象が起こるかを解析中である。そのために、ヒト ホスファチジルセリン合成酵素(PSS1)のノックダウンをおこなうためのmiRNAノックダウンベクターおよびPSS1抗体を用いて、ホスファチジルセリン合成低下により引き起こされるオートファジーおよび細胞死が起こるかどうかを検討中である。
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Research Products
(1 results)