2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規糖鎖制御遺伝子による糖転移酵素mRNAの制御メカニズム
Project/Area Number |
21570157
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
後藤 聡 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60280575)
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Keywords | mRNA / 翻訳後修飾 / 小胞体 / 核外輸送 / 転写 |
Research Abstract |
私達は、ショウジョウバエの光受容細胞に必須な糖蛋白質であるChaopitin(Chp)の糖鎖修飾に必要な遺伝子群をスクリーニングし、約100種類の遺伝子を同定することに成功した。その中から、RNA結合蛋白質をコードするSecond mitotic wave missing(Swm)という遺伝子が、Chpの糖鎖に存在するα1-3 fucoseの付加に必須であることを見出した。そこで、α1-3 fucoseを付加する糖転移酵素FucTAのmRNAに着目してSwmの機能解析を行った。その結果、Swmは(1)FcuTAmRNAに直接結合すること、(2)FcuTAmRNAの転写と核外への輸送に関与すること、(3)FcuTAmRNAの安定性には関与しないことがわかった。さらに、他のタイプの糖鎖を付加する糖転移酵素群(Mgat1など)についても調べたところ、SwmはFucTAを選択的に制御していることがわかった。 また、α1-3 fucoseは神経系特異的な糖鎖なので、その生理的な役割を明らかにするために、fucTA変異体の神経系を調べた。その結果、幼虫期の神経節(ventral nerve cord)の形態が異常になることを見出し、α1-3 fucoseが神経節の形態形成に重要であることを見出した。 以上の結果は、神経特異的な糖鎖修飾が、それを生合成する糖転移酵素のmRNAレベルで制御されていることを示しており、新しい糖鎖制御のメカニズムが明らかになった。
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Research Products
(5 results)