2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光エネルギー移動測定による骨格筋の細いフィラメントのアトミックモデル構築
Project/Area Number |
21570162
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三木 正雄 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30242580)
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Keywords | 生物物理 / 分子スイッチ / 蛍光測定 / 制御メカニズム |
Research Abstract |
筋肉の細いフィラメントの構成成分である、アクチン、トロポミオシン、トロポニンの各分子の結晶構造はすでに解明されているが、これら分子の超巨大集合体のフィラメント構造の詳細は明らかではない。アクチンとトロポミオシンの結晶構造座標を使い、蛍光エネルギー移動の測定値ともっともよくあう配置を計算機実験により求めることにより、トロポミオシンとアクチンフィラメント複合体のアトミックモデル作成を目指した。前年度のアクチン-トロポミオシン(region:146-174)複合体アトミックモデルの作製に続き、トロポミオシンの領域41-69、83-111、181-209、216-244、251-279での蛍光エネルギー移動測定を行い、トロポミオシンのほぼ全長とアクチンフィラメント複合体のアトミックモデルを作成した。これら成果は2011年1月の生体運動合同班会議で報告し、また現在論文にまとめつつある。更に、トロポニンとアクチンとの結晶構造座標を使い、蛍光エネルギー移動の測定値ともっともよくあう配置を計算機実験により求めることにより、トロポニンとアクチンフィラメント複合体のアトミックモデル作成を目指した。この為、トロポニンの22の特定残基位置にシングルシステインをもつトロポニン変異体22サンプルを作製し、大腸菌で発現精製し、この22種類の残基の位置にそれぞれ蛍光色素を結合して、これらとアクチンとの蛍光エネルギー移動を測定し、蛍光エネルギー移動効率の値を得ることができた。これら値を使い、最終年度において、計算を行い、アクチンートロポニン複合体のアトミックモデルを完成することが可能となった。本プロジェクトのアトミックモデル構築法はX線結晶構造解析ではなし得ない、巨大タンパク質複合体の高次構造解明の為の新しい手法を提供するものである。
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Research Products
(3 results)