2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570164
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教 (90223297)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
|
Keywords | ハロロドプシン / 膜タンパク質 / イオンポンプ / 構造解析 / 古細菌 / 好塩菌 / 膜電位感受性 |
Research Abstract |
ハロロドプシン(hR)は、光エネルギーを利用して塩素イオンを細胞外から細胞内へと能動輸送して膜電位を形成する膜タンパク質であり、光で制御可能な膜電位コントローラーとしてチャネルロドプシンと共に注目されている。しかし、光により塩素イオンが一方向へ能動的に輸送される分子機構は、十分に理解されているとは言えない。我々はpH9,4M NaCl環境で生育可能な好塩性好アルカリ性古細菌 Natronomonas pharaonisのhR大量発現株からpharaonis hR(phR)を単離・精製して、膜融合法により結晶を作成する事で、高分解能の立体構造を得る事に成功した。本年度は、昨年に引き続いて、phRの結晶を光照射して低温でトラップする事により光サイクル中間体の構1造(L1,L2,N,0)の解析を試みたが、きれいな解析像が得られず、非常に多様な分子種の混合状態にある事が推定された。これから、少なくとも塩素イオンキャップ構造を除去したphRの結晶化が望まれているが、現在までに、Natronomonas株の形質転換系は確立していない。そこで、大腸菌を用いた発現系を用いてphRの変異株を作製し、結晶化を試みたが、構造解析に十分なサイズの結晶を得る事はできなかった。現在、精製したphRと古細菌から抽出した脂質分子から膜断片を再構成し、それを用いて膜融合法による球核結晶化を試みている。また、アザイド結合型phRの2.0A分解能での結晶解析に成功し、その光中間体の模倣状態であるpH9でのアザイド解離状態の構造解析にも成功した。アザイド型phRは、プロトン輸送活性を示し、通常の塩素イオン型phRとの比較から、塩素イオンポンプとプロトンポンプの機能変換についても構造から考える事ができるようになった。
|