2010 Fiscal Year Annual Research Report
1分子追跡用新規蛍光ナノ粒子の開発と、クラスリン被覆ピットのシグナル機構の解明
Project/Area Number |
21570167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 敬宏 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (80423060)
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Keywords | 1分子追跡 / 蛍光プローブ / 細胞膜 / クラスリン被覆ピット / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の目は、「新規蛍光性シリコンナノ粒子を、我々の1分子観察技術と組み合わせ、生細胞の1蛍光分子イメジング技術に劇的な改善をもたらす」こと、それにより、「細胞膜上のクラスリン被覆ピットと呼ばれるナノドメインの形成機構とシグナル伝達プラットフォームとしての作動機構を解明する」ことである。平成22年度は、 1. 親水性表面処理と生体分子への結合方法を改善する。 2. 細胞膜上の受容体(Gタンパク質共役受容体;GPCR)を特異的に標識し、1分子追跡をおこなう。 3. CCPの受容体選別機構を調べる。 ことを目標とし、以下の成果を得た。 1に関しては、 1-(1).トランスフェリン分子(トランスフェリン受容体に対するリガンド)を表面に共有結合した赤色ナノ粒子(直径4nm)の水中での蛍光強度は9時間経過しても80%維持されること、受容体への結合特異性は6時間経過しても失われないこと、を確認した。 1-(2).HaloTagリガンドを共有結合したナノ粒子をプローブとして確立し、細胞膜上のHaloTagタンパク質融合受容体をターゲットとすると、より多くの種類の生体分子の特異的標識が可能になる。HaloTagリガンドを結合した青色ナノ粒子(直径2nm)の蛍光強度が20時間以上経過しても70%以上維持されることを確認した。 2に関しては、GPCR(フォルミルペプチド受容体)のモノマー/ダイマー2次元平衡定数、および受容体間の結合/解離の時定数を1分子蛍光イメジング法で定量する方法を確立した。解離の時定数は約90ミリ秒と非常に短いこと、また、刺激後のシグナル分子のリクルート時間も100ミリ秒程度以下の短時間であることが予想されることから、高感度・高速(0.1ミリ秒時間分解能)観察のための装置、運動の定量解析のための手法の開発を進めた。これらに基づき、3のプロジェクトを現在進めている。
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