2011 Fiscal Year Annual Research Report
1分子追跡用新規蛍光ナノ粒子の開発と、クラスリン被覆ピットのシグナル機構の解明
Project/Area Number |
21570167
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 敬宏 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (80423060)
|
Keywords | 1分子追跡 / 蛍光プローブ / 細胞膜 / クラスリン被覆ピット / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「新規蛍光性シリコンナノ粒子を利用した1蛍光分子追跡により、細胞膜上のクラスリン被覆ピット(CCP)と呼ばれるナノドメインの形成機構と、シグナル伝達プラットフォームとしての作動機構を解明する」ことである。平成23年度は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)をはじめとする、様々なシグナル受容体をシリコンナノ粒子で標識する方法を確立し、「CCP毎に集積するシグナル受容体の種類は選別を受けるのか、CCPへの集積前後で受容体にリクルートされる分子が変化することにより、機能調節を受けるのか」を検証することを目標とし、以下の成果を得た。 (1)シリコンナノ粒子の1分子プローブとしての汎用性を高めるため、酵素タグ(HaloTag)に対するリガンドを共有結合した粒子を作製し、CHO-K1細胞に発現させたHaloTag融合受容体(Halo-GPI)を特異的に標識することに成功した。しかし、GPCRに関しては、細胞外にHaloTagを融合した状態で細胞膜に発現させることが困難であったため、1分子追跡には至らなかった。 (2)アクチン膜骨格の仕切りが入った細胞膜上での、受容体1分子の拡散運動(ホップ拡散)と、CCPへの集積を正しく評価するためには、ミリ秒以上の高時間分解能での高感度・高速1分子追跡技術、および、ドメインあたりの滞在時間の定量解析法を開発する必要があった。開発の結果、有機蛍光色素(Cy3,TMR)で標識したシグナル受容体(GPIアンカー型タンパク質Thy1、EGF受容体)の、0.1ミリ秒時間分解能における1分子追跡に成功した(世界初)。特に、EGF受容体に関しては、リガンド(EGF)刺激前後でのドメインあたりの滞在時間の変化を評価し、刺激後は、シグナル複合体形成により、膜骨格のコンパートメントに刺激前の約1.5倍長く滞在することがわかった。
|