2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホモダイマー型光合成反応中心に存在するキノンの物理化学的性質と機能の解析
Project/Area Number |
21570168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大岡 宏造 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (30201966)
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Keywords | 緑色イオウ細菌 / 反応中心 / 光化学系1 / キノン / ESR / ホモダイマー / ヘテロダイマー |
Research Abstract |
光合成細菌のタイプ1反応中心はホモダイマー構造をとり、2方向の電子移動経路は等価に機能していると考えられている。しかしながらどのように2方向の電子移動が制御されているかは不明である。また我々のこれまでの先行研究により、電子移動経路上には二次電子受容体としてキノン分子が存在することが示唆されてきたが、その詳細な反応特性は明らかとなっていない。そこで本研究では、ホモダイマー型反応中心の物理化学的特性と機能を解明する目的で、互いに補完的な2つのプロジェクト(Progect A:二次電子受容体・キノンの物理化学的性質および立体構想の解析、Project B:反応中心のヘテロダイマー化と部位特異的変異の導入)を企画・立案した。本年度は目的達成のための実験系を確立するために、Project Bを中心に推し進めた。具体的には、精製用タグ(His-tag)を付加したpscA'遺伝子と薬剤マーカー(Gm')を相同組み換えに必須なrecA遺伝子領域に挿入し、recA-株を作成した。これにより、ヘテロダイマー化のために導入した第2のpscA'遺伝子が、相同組み換え機構によって修復されることを防ぐことができる。次にNi-NTAカラムによるアフィニティー精製を行ったところ、His-tagを付加した第2のコアタンパク(His-PscA')の発現を確認することができた。閃光照射による過渡吸収変化測定およびESR測定から、安定な電荷分離に必要とされる電子伝達成分がすべて揃った反応中心標品であることが分かった。今回開発したアフィニティー精製は、従来の調製法よりも極めで簡便な方法であり、生化学的・分光学的解析のみならず、今後、結晶化を目指す上で、標品を大量に調製することが可能になった。
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