2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホモダイマー型光合成反応中心に存在するキノンの物理化学的性質と機能の解析
Project/Area Number |
21570168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大岡 宏造 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (30201966)
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Keywords | 緑色イオウ細菌 / 反応中心 / 光化学系1 / キノン / ESR / ホモダイマー / ヘテロダイマー |
Research Abstract |
緑色硫黄細菌やヘリオバクテリアの反応中心は、植物の光化学系1反応中心と同じタイプ1反応中心に分類される。しかしながら構成する反応中心コアタンパクはホモダイマー構造をとり、2方向の電子移動経路は等価に機能している。本研究は反応中心の2方向の電子移動の制御機構に着目し、緑色硫黄細菌の反応中心の物理化学的特性と機能を解明することを目的としている。互いに補完的な2つのプロジェクト(ProgectA:二次電子受容体・キノンの物理化学的性質および立体構想の解析、Project B:反応中心のヘテロダィマー化と部位特異的変異の導入)を立案し、研究を進めている。本年度は昨年度に引き続き、目的達成のための実験系を確立するためにProject Bを中心に推し進めた。昨年度は精製用タグ(His-tag)を付加したpscA'遺伝子と薬剤マーカー(Gm^r)をrecA遺伝子領域に挿入し、His-tagを付加した第2のコアタンパク(His-PscA')の発現を確認するとともに分光学的測定を行った。本年度は、さらにマススペクトルによる解析から、反応中心標品中にHis-PscA/HislPscA'型の標品が含まれていることを確認し、人工的ヘテロダイマー創出の足がかりを確立することに成功した。また一方において、遺伝子操作による解析を簡便化するために、広宿主域プラスミドをもちいた外来遺伝子発現系の構築を試みたところ、良好な結果が得られている。現在、プラスミドの安定的保持の確認を進めているとともに、緑色細菌Choloroflexus aurantiacus由来の反応中心タンパクの発現を試みている。さらにNi-NTAカラムによるアフィニティー精製により調製した反応中心標品の結晶化にも取り組み始めた。
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