2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオロドプシンを中心にしたロドプシンイオンポンプの電気的測定による研究
Project/Area Number |
21570172
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 Chuo University, 理工学部, 教授 (80219865)
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Keywords | エネルギー全般 / 生物物理 / 分子機械 / 生体分子 |
Research Abstract |
本年度の計画では,1. バクテリオロドプシン(BR)のD96N変異体の解析,2. プロテオロドプシン(PR)の変異体を含めた解析,3. パルスレーザーを用いた既存の高時間分解電圧測定装置,時間分解分光測定系の改良,4. 分子表面の水素イオンの出入りを電気的に測定する実験系の構築,の4点を目標としていた.1.のBRについての解析はほとんど進められなかったが,2.のPRについては,イオンポンプからのプロトンの出入りの順番を測定する実験を行った.PRはBRとよく似たアミノ酸配列構造を持ち,生理的条件ではともに光の吸収に伴いプロトンを細胞内側から細胞外に輸送する.しかし,BRのもつプロトン遊離に重要なアミノ酸残基を欠くためにPRではプロトン遊離のタイミングが遅くなり,プロトンをまず取り込んでから遊離する点がBRと大きく異なる.そこでBRのプロトン遊離基に対応すると思われるアミノ酸残基をグルタミン酸に置換した変異体を作成し,野生型との比較を行った.狙いとしてはBRと同じようにプロトンを遊離してから取り込むことを期待した.実験は北海道大学で菊川峰志博士,田母神淳博士のご指導の下,ITO電極を用いて電気的に測定する方法を用いた.その結果,プロトンの出入りの順番が変わるということはなかったが,明らかに野生型とは異なるタイムコースを示すことが分かった.この実験系は今年度の目標の4.の分子表面の水素イオンの出入りを電気的に測定する実験系であり,これを中央大学でも使えるようにするために装置の作成を行い,ほぼ完成させる事ができた.3番目のパルスレーザーを用いた既存の高時間分解電圧測定装置と時間分解分光測定系を改良についてはほぼ予定どおり,データ取込・制御用のボード及び制御用プログラム(ナショナルインスツルメンツ)を導入して完成させることができた.
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