2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理的条件下で天然構造と平衡にあるタンパク質の変性構造の解明
Project/Area Number |
21570173
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
瀬川 新一 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70103132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 康夫 関西学院大学, 理工学部, 教育技術主事 (40268511)
油谷 克英 独立行政法人理化学研究所, 播磨研究所, 上級研究員 (90089889)
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Keywords | タンパク質フォールディング / H/D交換反応とNMR測定 / リゾチームS-S結合欠損変異体 / 超好熱菌由来タンパク質 / ピロリドンカルボキシルペプチダーゼ / タンパク質の変性状態 / グリセロールによる選択的水和 |
Research Abstract |
リゾチームのS-S結合欠損変異体の研究の集大成として、本年度はCys30-Cys115間にS-S結合を持つ1SS-2変異体の部分構造形成を研究した。その結果、4種の1SS変異体の部分構造形成を比較検討することが可能になり、高濃度グリセロール存在下で誘導される部分構造形成反応における各S-S結合の役割の違いを解明した。50%グリセロール中で4種の1SS変異体は皆ほぼ同程度のヘリックス含量(約40%)を回復するが、主鎖アミド基のH/D交換反応に対する遅延因子の測定結果は「1SS-1変異体(Cys6-Cys127を持つ)だけが、誘導された部分ヘリックス構造を安定化する空間秩序構造を形成できる」という事実を明らかにした。1SS-1変異体以外の場合は、誘導された短いヘリックスがポリペプチド主鎖上を浮動して定まった領域に安定構造を確保することができない。グリセロール誘導フォールディング反応の初期過程におけるCys6-Cys127結合の優位性を明瞭に立証したが、反対にフォールディング転移終了後このS-S結合は必ずしも必須ではなく、折りたたみ反応の遷移状態前後でS-S結合の役割が大きく変わることを見出した。現在、S-S結合欠損体の全研究を総括して、各S-S結合の役割を解明する論文を準備しているが、前述の視点の重要性がキーポイントである。 一方、ピロリドン・カルボキシルペプチダーゼ(PCP)の研究は、pH3.0、8℃の条件に変更し、NMRスペクトル測定前の急速なリフォールディングの条件を改善して実験を行った。その結果、α4ヘリックスとα6ヘリックスが他のβストランド領域に先駆けて明瞭に構造形成することを解明することに成功したが、この研究はまだ現在継続中である。
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Research Products
(5 results)