2010 Fiscal Year Annual Research Report
M期染色体上におけるエピジェネティック情報の継承機構
Project/Area Number |
21570177
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小村 潤一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10215410)
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Keywords | クロマチン / 細胞周期 |
Research Abstract |
高等真核生物の細胞では、細胞周期のM期には、DNAは高度に凝縮した染色体の形をとる。この時期、すべての遺伝子の転写は停止し、活性遺伝子のプロモーターなど転写関連装置の構築は失われ、転写因子などの核タンパク質の多くも染色体から脱落する。しかし、凝縮した不活性なM期染色体上においても、もともと活性であった遺伝子には何らかのマークが付いており、M期終了後、マーク付きの遺伝子のみ構築を再建し転写を再開すると考えられている。本研究では、これらの現象の機構の解明を目的とするが、本年度は、M期における核タンパク質の脱落が、M期の染色体凝縮機構そのものによって指示されているという、以前からある仮説の正否について検討した。具体的な実験操作としては、染色体凝縮にもっとも重要な役割を果たしているふたつのタンパク質、コンデンシンとDNAトポイソメラーゼIIの機能をHeLa細胞においてsiRNAもしくは薬剤によって阻害する。この処理によって、M期染色体は膨潤もしくは伸長した形態を示すようになるが、この場合に、転写因子などのDNA結合核タンパク質(TATA-binding protein、Heat shock factor 1、CTCF、Ku70)のM期における脱落が妨げられるか否かを、蛍光抗体法で調べた。結果は、M期染色体凝縮を阻害しても、核タンパク質の脱落は妨げられないというものであり、上記仮説を支持しないものとなった。M期における核タンパク質の染色体からの脱落は、染色体凝縮機構と直接関連はしていない可能性が高いと考えられる。少なくとも、以前推測されていたように、「濡れた布を絞る時のように、タンパク質が絞り出される」のではないと考えられる。
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