2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖と癌化抑制における転写因子E2Fによる細胞運命決定機構の解析
Project/Area Number |
21570180
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大谷 清 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30201974)
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Keywords | 細胞増殖 / 癌化抑制 / 転写因子 / 細胞運命 / アポトーシス / E2F / PI3キナーゼ / p53 |
Research Abstract |
細胞増殖と癌化抑制における転写因子E2Fによる細胞運命決定機構を明らかにする為に、E2Fによるアポトーシス関連標的遺伝子の制御機構とアポトーシス抑制に重要なPI3キナーゼ経路との関連を検討した。1.DNAマイクロアレイで同定した、癌抑制遺伝子産物RBの制御を外れたE2Fによって特異的に発現誘導される候補遺伝子12個に関して、本当にRBの制御を外れたE2Fで特異的に発現誘導されるか否か、またE2Fの直接の標的であるか否かを解析した。その結果、RBの制御を外れたE2Fによって特異的に発現誘導される新規標的遺伝子を5個同定した。2.この中から、Bim遺伝子の発現制御機構を解析した。内在性遺伝子発現は、過剰発現したE2F1によって発現誘導され、PI3キナーゼ経路を活性化する血清刺激によってその発現誘導が抑制された。この抑制は、PI3キナーゼ経路の抑制剤で認められなくなった。一方、Bimプロモーターは過剰発現したE2F1によって活性化されたが、その活性化は血清刺激によって抑制されなかった。従って、PI3キナーゼ経路を介したBim遺伝子発現の抑制は、転写レベルではなく、mRNAレベルで行われている可能性が示唆された。3.ウェスタンブロット法を用いて、細胞増殖を促進する生理的なE2F1とアポトーシスを誘導するRBの制御を外れたE2F1の生化学的な差を検索した。E2F1は2本のバンドとして検出され、これら2本のバンドは脱リン酸化処理により、より泳動度の速い1本のバンドに収束した。従って、E2F1は高度にリン酸化されていることが明らかとなった。E2F1の過剰発現またはRBを強制的に不活性化するアデノウイルスE1aによってRBの制御を外れたE2F1活性を生じさせると、低リン酸化型のE2F1が増加した。従って、RBの制御を外れたE2F1は低リン酸化状態であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)